東京にいくことになりました

田舎育ちの私は、進学するにも、育った町から離れる必要がありました。
外にでていくことに憧れがあったわけでもなく、抵抗があるわけでもなかったのですが、勉強したいものがあったので、私は進学を選んだのです。
そして今、東京にいくことになりました。

行きたかった大学は、残念ながら門がひらきませんでした。
ですから、私は、遠い東京へ行くことになったのです。

東京に行くこと自体は、ちょっとうれしいので、早速もろもろの準備をして、春には、東京に向かう電車にのりました。
新幹線で上京した私に待っていたのは、大雪で新幹線の大幅遅れ。
夕方につくはずだった私が東京駅に着いたのは、夜遅くだったのです。
迎えに来てくれた叔父と遅い夕飯をとったのですが、さすがに東京、夜でもたくさん食べると頃があっていいねぇと思ったものです。
これは今は昔のお話で、遠い私の思い出です。
今や私の人生は、半分以上が、この東京での生活になってしまいました。
先日、会社の人と故郷の話をしたときに、田舎には、18年しかいないけど、東京にはもう25年以上いるからねとおっしゃったのをきいて、なるほどと思ったのです。
田舎は、生まれ育ったところではあるけれど、今の生活のほとんどが、この地なんだなと改めて思いました。
そうなるとどっちも捨てがたく、素敵におもえてきたのです。
不思議な感覚ですが、嫌な感じじゃないし、さびしい感じでもなかったですよ。

苦手を克服

田舎から「無農薬で作ってあるからね」と送られてきたキャベツに、くっついていたナメクジ2匹。
苦手すぎて、触ることもできず、しばらく、考えた挙句、筒状に巻いた新聞紙の先端につけて、マンションの5階から、ふるい落とした。

夕方、子どもたちと川沿いを散歩していたら、不意に、固くて丸いものが、顔にぶつかってきた。
とっさに振り払おうとしたが、それは襟首から服の中に落ちた。
「嫌ぁ~!!」一所懸命に振るったら、裾から、コロンと落っこちてきた。
カナブンだった。
勘弁してください。
虫、苦手なんです。
そんな私が、とある事情で、田舎に引っ越してきた。
ナメクジやカナブンどころではない。
大きな大きなクモが、夜、寝る間際に、天井をはっているのを発見。
絶句です。
夢中で、子どもたちを非難させ、母たちを起こし、大騒ぎ。
柄の長いほうきで、クモを玄関の方に追いやり、それに、専門の噴射液をかける。
「クモやゴキブリで騒いでいるようでは、ここで暮らしてはいけないよ」
そういう母は、素手で、ゴキブリをも退治するらしい。
嘘でしょ?と思うくらいの足の長いクモ。
不気味を通り越して恐ろしい。
素手でゴキブリ?
ありえない!!
しかし、慣れていかないといけないのだろう。
がんばれ、私!
自己PRの中の、虫嫌いを克服するのだ。
(いや、でも、ゴキブリは無理…)
虫ばかりではない。
気をつけなくてはいけないのは、マムシ。
蛇の一種なのだが、毒を持っている。
厄介なのがこの蛇の性格。
草むらから、ピュンと飛び出してきて、噛みつくらしいのだ。
蛇たちが冬眠に入る前の秋が、もっとも危険なのだという。
ここでの生活、大丈夫だろうか…。

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