人間関係や利害関係を見抜く
親が転勤族だったので子供の頃は転校を何度か経験したのだが、当時は都度新しい場所で人生をリセットするのが嫌で、面倒で、
もの凄いストレスだったのを覚えている。
自分が大人になったらこんな思いは子供にさせたくないとよく思ったものだ。
この経験が活かされているのかな、と気づいたのはずいぶん後になってからだった。
社会人になったくらいから意識しだしたのだが、
人間関係やその利害関係を人よりもあざとく見抜けるようになっていた。
はたまた組織の構図や物事の構造をひもとき、理解するのも上手なのかもしれないと。
転勤族が経験するのは、都度全く新しい環境に放り込まれることだった。
子供の頃は特に仲良しこよしの世界。
集団の中における自分の立ち位置を如何に見つけるか、確立するか、目的は明確だった。
私は名前が変わっているのでそれだけで新天地ではネタになるのだが、まずは新しい集団の中でとっつきやすい人間を選ぶ。
そして人間ウォッチングをしながら集団内でのそれぞれの役割を見出す。
リーダーや弄られキャラ、皆が一目置く一匹狼など。
この人には目をつけられない方がいいな、このあたりは無難なところだなと考えながら、ある意味で計算高い友達作りをしていった。
そうやって既存集団に溶け込んでいくのが上手くなっていった。
時には意図的に自分をプロモーションすることもあった。
大人になってみると社会は巨大な集団組織だった。
様々な利害関係が交錯するビジネスシーンでは常に自分の企業の利益の最大化を求めなければならない。
ときには不利な交渉も上手く誘導しなければならない。
そのときに子供の頃にあんなに嫌だった転勤族の経験が活きているのだなと思えるようになったのかもしれない。