犬の主張

動物のあいさつは、「カーミングシグナル」というコミュニケーション方法で成り立っている。
「犬は緊張すると欠伸をする」「不安だとプルプル震える」などが代表的なものだと言える。
尻尾の動きもその限りだ。

このカーミングシグナル、全部覚えろと言われたことがあった。
実はこれ、何十種類もあって、本当に色々な方法で犬同士はコミュニケーションをしている。
とにかく苦労して覚えさせられた。

だけどこの方法が何十種類もあることを、意外と動物のプロと呼ばれる人たちでも知らないことが多かったりする。
せいぜい尻尾の動きや表情などだけだと思っているわけだ。

私がまだそこまで犬の勉強をしてない頃、ある動物病院に行った時の話だ。
健康診断だけだったので、診察台に乗って触診などの簡単な検査をされただけだったのだが、いざ終わって診察台から犬を下してみたところ、フケや毛がたくさん落ちていた。
本当、ハゲるんじゃないの!?というくらい、毛玉になるほど落ちていた。
そもそもうちの犬は毛の短い犬で、もちろん毛は抜けるものの、ちょっと異常と言える程度だった。

「こんなに抜けてる」という話をすると、そこの獣医は「毎日こんだけ抜けてるけど、それを気づかないだけ。診察台に乗せるとそれがよくわかるから、皆驚くけどさ・・・」と呆れたように私に言った。
「毎日ここまで抜けてたまるか!」と、毎日共にしている飼い主側からの意見ではあったが、あまりにも犬のプロが言い切るもんだから、煮え切らない気持ちで納得せざるを得なかった。

数年後、カーミングシグナルの種類を調べた時、「緊張するとフケが出る」「毛が抜ける」という方法があるのを知るまでは、私は本当にそれが胸の奥でずっとつっかえていたのだ。

本当、消費者が賢くなれとはよく言ったもので、いくら国家資格があろうとも性質まで全て知っているわけではないことを改めて知った。
だけど、逆の立場で考えるとするならば、そんな立場の人間から断固として言われてしまうと、「そうなのかなぁ」と思いつつも頷いて納得するしかない。
そういう疑問を持った人たちに適切なアドバイスが出来る人間に私がなれれば、一番いいのだけれどね。

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